「きみとぼくが壊した世界」(一応ネタバレ注意感想)

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくが壊した世界 (講談社ノベルス)

「世界シリーズ」の第3弾ということですが、さて、これはどうなんでしょうか。夢中になって夜更かしして読んだくらいには面白かったのですが、読み終えてみると力が抜けるような、そんな作りでした。


作中作の連続というのは面白くもある反面、だんだん「またか」という気分になりますし、途中から「どうせこれも作中作なんでしょ」という予想がついてしまった感は否めません。だいたい、あれだけ萌えどころを発揮してくれた病院坂黒猫さんの姿が結局父親の創作にすぎなかったとはいかがなものか。それなりに彼女のことを分かって書いているとはいえ、実際の姿では無かったとはがっかりなのです。


……それはそうと、前作で出てきた黒猫さんの売春設定は一体全体なんだったんでしょうか? その後さっぱり全く触れられないだけに引っかかってしょうがありません。本作のラストにおける彼女の用心度を見ると、箱彦の虚言説も捨てきれませんが、あえてあいまいにしてあるんですかねえ……。その辺の不透明さも含めて「壊れた世界」なんでしょうか。