「憲法はまだか」

大河ドラマはあまり見ないんですが、ジェームス三木さんが脚本の時は結構楽しんでました。吉宗とか徳川葵三代ですとか。で、大河ではないですが、この「憲法はまだか」も以前NHKのスペシャルドラマでやってたのを覚えています。本書はその小説版ということで、さらに詳しく現日本国憲法誕生までの道のりをたどれました。


終戦直後、従来の、いわゆる明治憲法にこだわり、国体の維持にやっきになる日本政府と、「封建国家」に人権と民主主義を根付かせようと理想に燃えるアメリカの若手軍人や学者たち。単純に物語として面白い構図です。


まあ、GHQの押しつけ感は否めないんですが、結果的には国民が強く支持し、現在まで続いているわけで、ある意味、「理想」が押し切ったということなのかもしれません。草案作成にあたった一員、ベアテ氏の言葉が印象的でした。


「『日本国憲法』はアメリカの憲法よりずっと優れています。自分の持ち物より、もっといいものを、プレゼントするとき、それを『押しつけ』というでしょうか」


本当は、日本人自ら優れた憲法を作れれば一番なんでしょうけどね……。現憲法が成立した時、天皇制の将来を悲観して自殺した人もいたそうです。今からみると「そこまでしないでも」と思ってしまいますが、文化と伝統というものの重さと、変えることの大変さを感じます。


あと、憲法前文の案が出来たときに、その名文にアメリカ人が皆感激したというエピソードが興味深かったです。あれは日本人から見ると直訳調が引っかかりますが、英語的には名文だったんですねえ。なるほど。そう考えると、確かに内容はすごく良いこと書いてあるよなあ、とあらためて感心したりしましたよ。