「きみとぼくの壊れた世界」

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)

きみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)


ややネタバレ注意。


先日「不気味で素朴な囲われた世界」の感想で、西尾維新さんは姉妹萌えがあんまり好きじゃないのかも、的な感想を書いたのですが、今作を読んだらストレートに妹萌え作品だったので驚く。夜月は正統派に可愛い妹さんでした。


さてしかし、そこは西尾作品です。きっと主人公がどこかゆがんでいたり、そうでなければ夜月が意外にも腹黒い犯人だったりするに違いない、などと勝手に予想していたのですが、主人公の様刻は妹ラヴァーで理屈っぽいほかは意外なほどにまともな性格であり、夜月も熱烈なブラコンであるほかは普通の女子高生でした。これにはまたもや驚いてしまう。……いやま、読んでて心地よいのは、「不気味で〜」より間違いなくこちらですけどね。


それにしても、ヒロイン(?)にして探偵役の病院坂黒猫が、いきなり「分からない」と言い出して屋上から飛び降りたところには様刻同様、度肝を抜かれました。印象に残る展開でありました。


「壊れた世界」の中で出来るだけのベストな選択を繰り返し、様刻が手に入れた日々はハーレムなのか綱渡りなのか。それでも適度に前向きな彼に幸あれです。うん、面白かった。