ナルキッソス3 「メサイア」がすごかった

振り返れば前回ナルキ3について触れたときから4ヵ月半もたっているんですが、その間シヴィライゼーション4とかアニメとかに時間をとられて、進行は実に遅々としておりました。でも、投げ出したわけじゃないんですよ。


正直、2番目に読んだ「-Ci-シーラスの高さへ」がいまひとつ感でしたので(掛け合いノリは面白かったですけど、ちょっと冗長でした)、ややテンションが下がっていたのですが、お次の「メサイア」。これがすごかった。ガツンとやられました。


新米医師の拓人と、「7階」の住人である久也。死をめぐる重さと、それでもさわやかな友情と。ナルキ1にも通じる(おそらく意図的に重ねているのでしょう)ロードムービーの要素。彼らをめぐるさまざまな人々の様相が過不足なく書き出されていました。


以下一応反転。




何より驚愕したのが終章です。まさか拓人が久也よりも先に死んでしまうなんて……。その衝撃と喪失感は非常に大きいものがありました。これ、普通にやったらあまりに突拍子もない展開として受け入れられなかったかもしれません。でも、本作はそれまでにじっくりと、丹念に積み上げていたから納得でき、受け入れざるを得ませんでした。交互の一人称形式も効果をあげていましたね。


息子に拓人の名前を託して、久也もまた目を閉じる……。感動とか悲劇とかそんな言葉も似合わない、一つの穏やかな死がそこにありました。合掌です。



それにしても、ヒロイン無し。男だけのビジュアルノベルなんて初めてだったかもしれません。こういうのも悪くないです。