「あふたー・ざ・けいおん(粗筋)」(esu-kei_text)が面白かった

SS……に分類して良いのか分かりませんが、かなりズドンときました。蛸壺屋さんという同人サークルに描かれたエピソードをさらにesu-keiさんが膨らませたものだそうですが、「けいおん!」メンバーの卒業後を暗めに、それでいて一定のリアリティを保ちつつ書き出しています。僕は蛸壺屋さんの「原作」は知りませんが、多分、esu-keiさんの書かれた補完部分のほうが魅力の多くを占めているんじゃないですかね。ダークなだけの二次創作は好きではないですが、このくらいのシリアスさ加減なら許容範囲というか、結構好み。


一人芸能界デビューしヒットするも、スキャンダルにまみれて死んでしまう唯。就職が決まらずバイト暮らしの律、一流企業に就職したものの、不倫の恋に破れて引きこもる澪、そして唯を追って歌手を目指したものの、夢破れようとしている梓。うう、重い……(あ、紬さんは無敵ということで)。ことに、梓の境遇は泣けます。唯の死で希望を打ち砕かれる梓には、孔明の死に絶望した李巌を連想してしまいましたよ。あくまで粗筋とはいえ、読み応えありでした。


憂さえいれば唯は少なくとも自殺することはないだろうとか(他殺だったらもっと暗いなあ……。おりしもマイケル・ジャクソン他殺という話が出てきてますが。)、いくらなんでも澪が冷たすぎるんじゃないかと思ったりもするんですけどね。



ただまあ、IFとしては面白くても、さすがにこれを正史としては認めにくいので、心理防衛的に妄想オチをつけたくなってしまいます。


「……な〜んて話はどうかな?」
「あははー、わたし、死んじゃうんだ」
「律、ひどいぞ、何で私が不倫で引きこもりなんだ」
「澪先輩、それを言ったら私のほうがひどいですよ」
「まあまあ。うふふ……」


的に、居酒屋あたりで和気藹々と同窓会をやってる5人の図の方が良いですよね、やっぱり(何でそんな話をしてるんだか謎ですが、まあそこはそれです)。