「コードギアス 反逆のルルーシュ R2 TURN―4―」

罪深くも悲しい兄妹の物語。


高い評価をしてきたギアスのノベライズもとうとう最終巻。おりしも今日はBS放送でのR2最終回でもありました。アニメで味わったあの想いを、小説版でまたぐっさりと味わえます。悲嘆と痛惜がどこまでもやるかたない。


ノベライズの本作において、おそらく一番キャラが深まったのがナナリーでしょう。アニメでは、終盤いささか早足過ぎて、ナナリーの意志・覚悟が見えにくい嫌いもありました。だから、彼女がフレイヤを発射するまでが、いまひとつ軽く見えてもしまいました。でも、本書では、そこに至るまでの彼女の辛さが、絶望が、そして悲しさがヒシヒシと伝わってきます。アーニャに対して感情的に八つ当たりする彼女の姿が印象的でした。


あと、手を触れることで相手の感情を読み取れる能力も、出生時にマリアンヌによって操作された結果であるという設定が付与されてましたよ。最終回でナナリーがルルーシュに触れて全てを悟る部分も、これで納得というものです。小説ではもっと長く二人が通じ合っていて少し嬉しい。でも、「一生ルルーシュを否定し続けること」を償いとして背負うナナリーがまた、悲しいのです。


母親としてはあまりに冷酷なマリアンヌの姿も、アニメ版以上に書かれていきますが、「血は争えない」ということを色々と感じさせましたね。ナナリーが内に秘めた激情は、やはり母親譲り。ナナリーはユーフェミアにあこがれ、近づこうとして、でもユーフェミアと自分があまりにも違うということに、しだいに気づいていってしまったのではないでしょうか。


マリアンヌとナナリーの話が多いので、他のキャラ、特にシュナイゼルやカノンについてもうちょっと描写があるとよかったかなと思いましたが、ページ数の都合でやむを得ません。個人的には、二人がその後どのような生き方をしたのか興味があるのですがね。


いつも読んでいて楽しいシリーズでした。いくつかのシーンは、アニメで描かれなかったのは実に惜しいと思わせるほどに魅力的で、もったいないほどに。傑作ノベライズだったと思います。