WHITE ALBUM 第1話「そう、あの時はもう、スイッチが入ってたんじゃないかなあ」


なかなかに評価の難しい作りをしてきましたね。地味目な色彩に、どこかすれ違うようなテンポの悪い会話。落ち着いたキャラクターの表情。全編を通して、現実感を強く出そうという意識を感じました。現実ではポンポンとやりあえるリズムの良い会話というのはあまり無く、どこかチグハグだったりしますもんね。


時は1986年。聞くところによると、原作設定より昔にしたのは、「国民的アイドル」という存在が現代にあまりそぐわないからとか。なるほどと思わせますが、単にそうした事情にあわせたというだけでなく、しっかりと当時の光景を描いていこうとしてますね。カセットテープとかテレホンカードとか株価とか、やりすぎなくらいに86年でした(株価、去年の今頃とあまり変わらないなあ……)。86年といえば、清原がルーキーで大活躍したり、ハレー彗星が来たりした年でもありました。心なしか、水樹さんの歌う主題歌もそれっぽくしているような。


由綺は可愛いですし、思ったより頭も良くてしっかりしてそう。一方、冬弥は思ったより変な人。ヒロインが魅力的なのは何よりですが、今後の暗そうな展開を思うと気分が重くなります。


由綺の楽屋での話等、ちょっと見せ方が上手くなく、分かりにくかったところもありました。独特の意欲は感じるのですが、重さを越えてあえて見続けるだけの魅力があるのかどうか、判断に迷うところです。