「10秒の壁―「人類最速」をめぐる百年の物語」

イムリーな企画物。「100メートル走10秒」の壁と、挑み続けた選手達の軌跡を書いた一冊です。読みやすくポイントを押さえた著者の文章で、興味深いテーマを学ぶことができました。


手動計時から自動計時への変化、追い風と高地の有利性、そして記録の未来。6月出版の本書で、ウサイン・ボルトの可能性に言及しているのは著者の面目躍如といったところでしょう。巻末で「アンタッチャブル・レコード」の候補として挙げている、マイケル・ジョンソンの200メートル記録まで破られてしまうとはさすがに想像してなかったかもしれませんが。


文字が大きめページ少なめなので、これで700円はややコストパフォーマンスが悪いですが、他にこれといった欠点も無く、楽しい一冊でした。


ちなみに、著者の本としては10年ほど前、「プロ野球助っ人三国志」を昔熱心に読んだことを思い出します。あれ以降の助っ人を加えて、増補新版出してくれないかなあ。