コードギアス 反逆のルルーシュ 総合感想

一言で言って、素晴らしく面白かったです。これがまず何より。見始めてからあっという間にのめりこみ、レンタルを続けて一ヶ月弱で25話まで視聴完了。これほど一気に見る気になったアニメというのも久しぶりで、それこそエヴァ以来くらいの印象度がありました。多分リアルタイムで一週間ごとに見ていたら、もっと1話あたりの感想も強くなったんじゃないかな。


当初は「ナショナリズム的な作品」といった論評を眼にしたことがあって、そんなものなのかなと先入観がありましたが、実際のところそんな感じはほとんどありませんでしたね。論評間違っているでしょう。そもそもブリタニア帝国が存在する世界自体が架空のものなので、作中の「日本」に対してさほどの感情移入が無いですし、ルルーシュ含め主要キャラが日本人ではないですしね。


ルルーシュの知能と特殊能力、そして世界の変革をもくろむ行動はデスノート夜神月とよく比較されるでしょうし、実際キャラ作りに影響も受けているのでしょう。でもルルーシュは月と違って家族や友人を大事にしている面もあるし、時々甘い面もあってそこが彼を魅力的にしていますね。月が個人で戦ったのに対し(海砂を利用したりはしてますが)、ルルーシュは組織を築き、構成員をそれなりに信頼して動かしている。ここも大きな違いです。これがブリタニア帝国に対して個人で立ち向かう、という設定だったら、かなり無理を感じたことでしょう。


もっとも衝撃的だったのはやはり22話。「血染めのユフィ」ですね。ユフィはもちろん、ルルーシュにもそんな意図は無かったのに、ほんの冗談のつもりが大惨事を引き起こしてしまう。最後まで善意と良心で行動していたユフィは、今後ずっと日本人の間で稀代の悪人として語り継がれ、本国ブリタニアですら、評価されない存在になってしまうに違いありません。あまりにも理不尽、あまりにも残酷。一体ユフィの生涯は、彼女の努力は全て無と帰してしまったのでしょうか? 嗚呼……。もちろん本作はフィクションですが、この理不尽が、きっと現実世界にもたくさんあるのだろうと思うと、一層やりきれない気持ちになります。せめてルルーシュがいつか、真実を世界に明かしてくれることを願います。


そのほかのキャラなどについて。


・スザク
彼の言っていることはおおむね正論だと思いますが、「正しい方法」で変えることのできる世界なのか、国家なのか、というところがまず問題ですかね。合法手段が無ければ非合法に訴えるしかないわけで。ブリタニアはイギリス由来のようなので、一応議会くらいはあるんでしょうか? あと、彼が軍人でいる理由がちょっと謎です。もっと他に向いた仕事があるように思いますよ。


・ニーナ
彼女の感情と行動はそれなりに筋が通っていて、「ユフィが好き→敵をとる」という点ではスザクやコーネリアと共通するのですが、その割には人気が出なさそうな可哀想な描かれ方ではあります。独力で原子爆弾を開発というのは本気で天才だと思うので、むしろブリタニア軍は彼女をスカウトすべきです。まあ、多分25話の段階では未完成・不発仕様だったとは思うのですが。


・シャーリー
時間が無かったのは分かりますが、もうちょっと記憶を失ったあとの彼女の描写がほしかったですね。生徒会メンバーで、同じクラスでもある人をすっぽり忘れていたら、あまりにも不自然ですから。24話で「すごく怖い思いをした」と言っていますが、具体的にどんな感じだったのか。それにしても、ルルーシュは消す記憶をもうちょっと範囲限定できなかったんですかね?