「不都合な真実」

不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

本当は映画館で見たかったですが、見逃したのでDVD視聴です。これは素晴らしい作品でした。アル・ゴア氏と言えば、現ジョージ・W・ブッシュ大統領と選挙で大接戦を繰り広げたことで有名で、ついでに、昔情報スーパーハイウェイ構想なんて打ち出していたなあ、という印象ですが、今作では環境問題の伝道師として全力を尽くす彼の姿が見られました。政治家の人気取りではない、本心から熱意と信念を持って温暖化問題に立ち向かおうとするゴア氏。かっこ良いです。


本作はほとんどが、ゴア氏が実際に行った演説をもとに作られていますが、驚くべきは退屈感が全然無いことでした。論理的な話の組み立て、挟み込まれるユーモア、適切で見やすいスライド画像。大統領に迫るほどの人のプレゼンテーション力とはこれほどのものかと感嘆させられます。特に面白かったのは、ぬるま湯が熱くなっていくのに気づかないカエルのたとえのところで、最後にカエルを助け出したところですね。「カエルの命を大切に」という言葉に聴衆からも拍手が起きていました。芸が細かいです。


さて、本作の主題は言うまでもなく地球温暖化問題。上記のように圧倒的な説得力を持ち合わせた演説に、僕もあらためて問題の重要性を痛感させられました。日本はアメリカよりは環境対策が進んでいるのでしょうが、一体どれほどの日本人がCO2削減を真剣に考えているかというとちょっとあやしいところで。政府国民が総力をあげて取り組まねば、と思います。


ところで温暖化といえば以前、マイケル・クライトンの「恐怖の存在」を読みました。あれは温暖化現象に対する反対論の表明で興味深かったですが、やっぱり説得力では今作のほうがずっと上に感じられましたね。少なくとも人間がCO2を多量に排出していることは事実な訳ですし、CO2に温暖化効果があるのも事実。それで何も起こらないという可能性は低いように感じられます。