ef - a tale of memories. 第12話「love」

OPは歌詞が日本語版。のみならず映像も、今まで縛られていたヒロイン達が、そこから抜け出すという作りに変わっていました。僕はこの、OPで鎖にちぎられていくかのような場面がどうも不気味で好きになれなかったのですが、それすらも織り込んで、最後に打ち破ってくれたef。恐れ入りました。


蓮治と千尋の「再会」。


「13時間って長いんですね。」
「思い返してしまうんです。何度も。何度も」


千尋にとって「思い返す」というのはすなわちアナログコピーのようなもので、すぐに劣化してしまうものなのでしょう。でも彼女の中に強く刻み付けられた蓮治の記憶は、たとえ数日をすぎても失われることなく。まさに愛の力ですね。蓮治が日記の切れ端を集めたことも、結果だけ見ると無駄に見えなくもないのですが、その熱意と行動とが「奇跡」にも等しい結末を導き出したのでしょう。


Bパートはそれぞれの新しい道を描いたエピローグ。12話という非常に短い時間の中で、各キャラのエピソードを過不足無くきっちりとまとめあげ、前向きなラストに持っていったというのは見事な構成力だと思います。EDスタッフロールはゲーム版OPでも使われた名曲「悠久の翼」。そしてラストは優子と火村夕の再会シーンで締め。もう多くを語ることもない、綺麗な最終回でした。



振り返りますに、今作は今期最大の収穫であり、非常に大きな嬉しい誤算でした。当初は同じ七尾奈留さん原画の「sola」くらいだったら嬉しいな、という期待だったのですが、それをあっさりと超えちゃいましたね。1話を見た時点ではまだ、凝った演出と画面の美しさに感嘆はしたものの、「そのうち落ちるんじゃないかな」と不安視しておりました。しかし2話のラストで一気に加速。あそこでつかまれた視聴者も多かったのではないかと思います。逆に、1話で見切っちゃった人も多そうで、残念なところ。


最後までまったく落ちなかった美しい作画と、印象的な演出。結構真っ直ぐで前向きだったストーリー。繰り返しますが、素晴らしかったです。ただ結局2つのパートは交差しませんでしたね。この辺、あまり深い意味はないのかな?


ともあれスタッフの皆様お疲れ様でした。あとはミズキと優子さんをヒロインの第2期に期待です。そのためにも現状では意外と注目度が低いように感じられる今作の評価がもっと上がれば良いんですけどね。