「アンダースロー論」

アンダースロー論 (光文社新書)

アンダースロー論 (光文社新書)

西武ファンにとっては敵ながら、渡辺俊介投手の投球は好きです。何より見ていて楽しい。いまや希少価値、というよりも、現状のプロ野球界では唯一といっていい本格的アンダースロー。その投球フォームと、ゆるい球を絶妙に使った投球は、美しささえ感じさせてくれます。


本書はそんな渡辺が著した(実際に書いたライターさんは別でしょうが、そんなことは置いといて)投球論。運動神経的にはさほどのものはなく、50メートル走も7秒台という彼が、いかにして今のような名投手になったのかを示してくれる好著でした。そもそも現役選手が本を出すこと自体珍しいですよね。


周囲にお手本のいないアンダースローだからこそ、自ら工夫し、成長していく。ボールの糸目への指のかけ方がオーバースローと逆になるという節には驚かされました。本書に限らず、結局「成功する人」の素質とは「情熱」なんでしょうね。情熱があるからこそ工夫し、伸びることが出来る。好きこそ物の上手なれ、とはよく言ったものです。


一軍に定着できなかった頃の辛さもしっかりと書かれ、読んでいると氏の人柄がうかがわれます。強敵ではありますが、日本球界のスターとして今後もどんどん活躍してほしいですね。