「国連の政治力学―日本はどこにいるのか」

国連の政治力学―日本はどこにいるのか (中公新書)

国連の政治力学―日本はどこにいるのか (中公新書)

面白かったです。タイトルは地味でも中身は剛健。日本政府代表部次席大使として国連中枢部で活躍してきた著者だけに、分かりやすい説明と説得力のある主張が詰め込まれていました。リアルに語られる国連の活動模様に注目。日本が陥りやすい(プラス方向でもマイナス方向でも)国連幻想から離れた姿を浮き彫りにしてくれます。


外務省や政府外交の仕事なんて、ゴシップ的な否定的なものとか、大きな事件が起きたときくらいしか報道されない感がありますが、日本も著者を含めた各職員の努力と才能によって、国際社会でそれなりの敬意を得られている様子。頭が下がります。以前ODA関係の本を読んだときにも思いましたが、やはり現地で活躍している人がたくさんいらっしゃるのですよ。それを詳しく報じることも無く、「日本外交は弱腰だ」とか「ODAはムダばかりだ」とか、マイナスイメージの報道ばかり目立つ気がするんですよね。いやもちろんムダはだめなんですが、もっと良いところも示して欲しいと思いますね。


閑話休題。本書で受ける国連のイメージは「多々の問題はあるけれども、世界の俊才が集まった熱意と理念ある組織」です。日本も今後これまで以上に参画すべく、理想化しないまでも積極的に関わっていって欲しいものです。著者の願い通り常任理事国になれれば良いのでしょうが、まだしばらくは難しそうで、残念。