レ・ミゼラブル 少女コゼット 第11話「サンプリスの嘘」

前半はいまひとつ勢いが無いような印象でした。ファンティーヌはあまりにもあっけなく亡くなってしまい、見せ方としてはもうちょっと重みが欲しかったです。もっともそのあっけなさがまたリアルなのかもしれませんが……。コゼットの作画は最近になく可愛らしく見えましたが、物語的にはとにかくジャン・ヴァルジャン側に注目したいところなので、コゼットパート時はちょっとジリジリしましたよ。


今回の見せ場はなんといっても後半、再びジャン・ヴァルジャンのパートになってから。刑務官にも冷たくされ、立場によってガラリと態度が変わる人の世を悲しむジャン・ヴァルジャン。しかしそこで当たり前のように脱走道具を取り出すところがさすがです。


そしてタイトルにもなっているシスター・サンプリスの嘘。「私が見たのは徒刑囚ジャン・ヴァルジャンではなく、マドレーヌ市長です」 泣かせるシーンです。ジャン・ヴァルジャンの脱走にしろシスターの嘘にしろ、罪は罪。しかし二人ともそれ以上に「為すべきこと」を心にしっかりと定めているからブレが無いのですね。立派なことであると同時に、下手をすると独善になってしまう難しいことであるとも思います。人間の高潔をうたった名シーンでありました。