「カーリー 1・2」

これは良作ですね。先日のラノベサイト杯で好評だったのを見て購入したのですが、期待以上に面白かったです。近現代史歴史物にして、なおかつ舞台はインドという、ライトノベルでは初めて見るような設定が個性的でした。


時は第二次大戦前夜、英領インドにおけるイギリス人子女の女学校における生徒達の日々。生き生きとした学園寮物であり、同時に当時の策謀渦巻く社会情勢も深く関わってくるというバランスに引き込まれます。


もちろんキャラクターも魅力的。作者が女性ということもあってか、女性キャラクターの描写にあまり類型的になっていない自然な印象を受けました。主人公のシャーロットも一見お人よしで弱々しいように見えますが、社会のことを積極的に勉強しようとしたり、勇敢に行動したりする部分もあって、読者のみならず周囲の人からも好感を持たれる子になっていますね。タイトルになっているカーリーも、ええと、穏やかで気品のある子って感じですね、はい(魅力的だけど論評しにくいキャラではあるなあ……)。


1巻もそこそこ面白かったのですが、なんといっても藩王国王女のパティが転向してくる2巻の疾風怒濤の面白さにはやられました。これは傑作ですよ。


後書きによると、これで物語の前半は終了だそうです。後半は売り上げ次第という怖いことも書かれてますので、ぜひとも3巻以降が出るようにと宣伝につとめてみたり。世界激動の大戦の中、シャーロットとカーリーたちの運命やいかに? 早く続きが読みたくてたまりません(が、作者のブログによりますと執筆順位は後ろの方みたいです。むむむ)。