ホワイトカラーエグゼンプションのこと

さて、少々唐突ですが近頃話題のホワイトカラーエグゼンプション制度について。仮に実施されたとしても僕が適用対象になることは当分無さそうですが、やはり労働者の一員として見過ごすわけにはいくまいってことで取り上げてみました。


そもそも「exemption」とはなんぞやと調べると、「免除・控除」ということみたいで、割とそのままですね。ご存知のとおり、ホワイトカラーの一部適用者については労働時間の規制を免除するという案であり、労働者側からは労働強化につながるとして強い反発の声が出ているわけです。


興味深いのは、労働組合のみならず各種マスコミやネット世論においても反対論がほとんどを占めていることでしょうか。ここまで労働側からの不評が強く出る話ってのもなんだか久々に見たような気がいたします。ここ10数年、日本は不況脱出のために各種規制緩和を推し進めてきたわけですが、ここでその流れが大きな壁にぶつかったということなのかもしれない、と感じたりもいたしました。「これ以上経営側の都合だけで決めないで欲しい」 そういう気分が強まっているかもしれません。なにせ、こういうことにはいの一番に賛成しそうな日経新聞ですら、慎重な姿勢を見せてますから。


とは言え、偏見でモノを言っちゃいけないよなあ、ということで有名どころですが経団連さんの「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」を読んでみます。読み物としてはなかなか楽しいものだったのですが、微妙な違和感はぬぐえずじまいでした。どうも経営側の一方的で理想的な視点ではないかという印象。だいたい「成果に応じて」というその成果はどこでどう査定するのでしょうか。「今まで8時間労働だったところを4時間で終わらせて仕事終了」だったら良いのでしょうが、結局倍の仕事がやってきて給与据え置きとかになりそうな予感です。増してや、現状でも残業たっぷりの場合、文字通りの「不払い残業合法化法」になってしまう危険は十分ありそうです。

ホワイトカラーエグゼンプション制度は、当然のことながら時間外労働に対する賃金の支払いを免れたり、労働時間を実質的に長くすることを目的とするものではない。


とは書いてあるものの、厳密に保証までしてくれてないですしねえ。この辺きっちり罰則付きで規定するというのならば信頼感も増すと思うのですが。



思うに、この制度を真に必要としているタイプの労働者も、いるにはいるのだと思います。うまく導入できれば一部には恩恵になるのでしょう。ただ、現状で見た場合、副作用の不安が大きすぎるというのが感想です。ありきたりな結論ですが、拙速に陥らず、慎重に議論すべきと思いますね。


ホワイトカラーエグゼンプション(Wikipedia)


僕のまとまらない文章よりも、Wikipediaの項目の方がよっぽど適切にして分かりやすいですな。