乙女はお姉さまに恋してる 第12話「ラストダンスは永遠に」

ブラボー、ブラボー! 素晴らしいラストでした。これほど見ていて幸せになれる最終回は久しぶりだったのですよ。


瑞穂の正体を知っても誰にも言わず、それでも「お姉さま」とは呼べなくなった貴子に、自らダンスパーティを最後にけじめをつけようと決意する瑞穂。この辺の感情の機微が繊細に描かれていました。演劇部の新作の話をかぶせているのも絶妙です。他総出演の皆さんもそれぞれ自然にそのキャラらしく動いていました。一子の話芸も久々に聞いた感じですやねえ。


瑞穂に対して奏や由佳里が言葉を紡ぐダンスシーン。別れの予感が本当に寂しさを伴って伝わってきました。このとき視聴者の立場は瑞穂じゃなくて、奏たちに近いものになっていたのでしょう。「瑞穂に去ってもらいたくない」 そう、見ている者に心から思わせた時点で、今作の成功は確定したと思います。ただの主人公でもなく、さりとてヒロインでもなく、瑞穂というキャラと設定だからこそなしえた魅力がそこにあったのではないでしょうか。


ラスト。歌も二曲重ねて、初詣の着物シーンにバレンタインデーのチョコの山にとなぜか温泉旅館(?)での卓球にとサービスカットも満載。そしてとどめに、机の上に置かれた卒業証書の筒。見事な余韻でした。


総合的に見て、今年一年を通しても屈指の良作だったと思います。正直なところ、放映前にはここまで出来が良い作品になるとはまったく予想していませんでした。同スタッフのD.C.S.S.はいまひとつでしたし……。素直に反省し、見る目を変えることにいたします。あえて難点をあげれば、全体を通してのテーマ性がちょっと薄く感じられた点かなと思いますが、これは作りの問題というよりは尺の限界という気がしますねえ。瑞穂と友人達の交流と成長は、せめて2クールあればもっと重み深みが出ただろうにと、そこだけはちょっと惜しいです。


ともあれスタッフの皆様お疲れ様でした。