「諸葛孔明」

諸葛孔明〈上〉 (中公文庫)

諸葛孔明〈上〉 (中公文庫)

諸葛孔明〈下〉 (中公文庫)

諸葛孔明〈下〉 (中公文庫)

解説によると、意外や意外、孔明主役の小説本は本作が初めてだったそうですよ(もちろん、小説以外の孔明本はもともと山ほどあります)。上下2冊しかないので内容的には相当はしょってる感ですが、孔明の特に幼少期を長めに書いているのは面白かったです。まあこういうのは、三国志の本筋を知っている人が補完的に読むものでしょうしね(……それとも、何も知らずに読む人もいるんでしょうか?)。


陳舜臣さんの三国志ものと言えば「秘本三国志」がなかなかに傑作でしたが、仏教や五斗米道などの宗教的観点を重視するところは通呈していますね。あと今作では一応真面目に(?)司馬懿と対峙しているようですなあ。何度読んでも馬謖の失敗は痛々しいことです。


それにしても中国の群雄割拠時代は他にもあるでしょうに、これだけ三国志ばかり人気と言うのはちょっと不思議に思いますね。春秋戦国はまだしも、五代十国とか全然話題にならないなあ。かくいう僕も知らないのですが。