「太陽」

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ロシアの監督が昭和天皇を題材に映画を作り、高い評価を受けたという話題作。なんだか以前は「日本での公開は無理」と言われていたらしいですが、どういう流れがあったのか、こうして見られることになりました。


内容の前にとりあえず「混みすぎ!」と言いたいです。銀座シネパトスですが、上映館が少ないということもあって、ついたときには長蛇の列。指定席が売切れでした。映画の立ち見なんて何年ぶりだったかなあ……。これだけ需要があるのならもっと幅広く上映されても良いような気もしました。


で、作品ですが良くも悪くもあくまで「芸術作品」という感じでした。画面は色彩薄く、まるでモノクロ作品を見たかのような、あるいはどこか遠い夢であるかのような暗い印象。その中で時間軸もいまいち不明分のまま、昭和天皇の心情行動が映されていきます。「ノンフィクション」では無く「事実を元にしたイメージ」ですね。歴史的に言えば嘘っぽいですが、まあそこはそういうものだということで。前半は重苦しいですが、後半は割と笑える場面もありましたよ。チョコレートとかチャップリンとか。


イッセー尾形さん演じる昭和天皇の物事への受け答えがいちいち微妙にずれていたりして、一歩間違えるとただの変な人で終わりそうなところ、ギリギリの線で収まってはいます。でも、やっぱり違和感はあるかなあ……。外国人ではなく、日本人が自らの手で昭和天皇を語る映画は、まだ作れないのでしょうか?