「夜明け前より瑠璃色な」感想日記 その8

最後に総評編です。以下反転。



シナリオ
悪くは無いものの、「いまいち薄い」と言っては酷でしょうか。振り返ってみて、強く思い返される印象的なシーンがほとんどないというのが残念なところです。たとえば麻衣シナリオにしてもさやかシナリオにしても、確かに達哉は悩んでましたが、結果があっさりと解決しすぎたような印象でした。せっかくロストテクノロジーとか古代の戦争とか魅力的な設定があるのですから、もっと物語に奥行きが欲しかったです。あと、せっかく留学してるのですから、フィーナと他のクラスメートとの交流とか等学校での生活面も充実させて欲しかった。歓迎会や送別会すら描かれないというのはもったいないです。まあこの辺は作品に求めるものが違うのかもしれませんが……。


メインのフィーナシナリオは、ラストもさることながら最初の方のが好きですね。個別感想の時も書きましたが、「姫であること」から逃げずに、地位も恋人も両立させるべく努力するフィーナが素敵です。



まあここは文句無しかと。立ち絵もイベントCGも綺麗で可愛いです。


音楽
こちらも印象度は低め。OPの2曲は良かったのですが、BGMは曲数が多い分耳に残りにくかったかも。あえてあげれば「蒼月のティアラ」が思い出せる感じです。


システム・演出
最近の作品としては可もなく不可もなく? 快適ですが、特に驚かされるようなことも無く、あくまで普通でした。


総評
一言でまとめれば「実に王道の美少女ゲーム」という印象でした。魅力的なキャラを中心にシナリオもシステムもそつなくまとまっていてストレート。……ただ、個人的にはもうちょっと衝撃というか、力強さがあると良かったなとおもいました。KEY作品にある感動とか、TYPE−MOON作品の燃えや伝奇分とか、あるいはEVER17やクロスチャンネルみたいなひねったつくりとか。まあ、この辺は好みの問題なんでしょうけどね。この作品最大の魅力はやっぱり絵とキャラクターだろうなあとは思いますし。


大きな欠点は無い、と言いたいところなのですがHシーンに関しては時々シチュエーションに疑問符がつきました。特にさやかと館長室で、フィーナと教室でというのは納得がいきません。前者はなんか博物館への冒涜という感がありましたし、後者についてはフィーナと達哉のキャラを壊しているとさえ思います。僕としてはばっさりスキップ。脳内から削除することにしました(苦笑)。あと避妊はしておいていただきたいと。「きっとロストテクノロジーで良い経口避妊薬が普及してるのにのに違いない」とか無理やり設定補完かけたくなりますよ。


総合的には佳作かと。売れ行きが良かったというのはうなずけました。



余談:この作品の略称については「よあけな」とかひらがな部分をとった「けよりな」とかがあるようですが、個人的には「あけるり」を推したいところです。一番直感的で、頭の中で漢字変換もしやすいと思うのですよ。正直「けよりな」では説明無いと分かりませんしね。