「背教者ユリアヌス(上)(中)(下)」

背教者ユリアヌス (上) (中公文庫)

背教者ユリアヌス (上) (中公文庫)

ISBN:4122001757
ISBN:4122001838

ローマ人の物語14」で触れられていたので興味がわき、手にとって見ました。


いや面白かった。


割と細かい文字で文庫本三冊に及ぶ大作なのですが、ひとたび読み出すやとまりません。一気に引き込まれました。これは期待以上でしたよ。


時は4世紀。古代ローマの名門に生まれながら、学問を志し、哲学を愛した聡明な青年ユリアヌス。運命はやがて彼を皇帝の座に押し上げます。異民族の侵入、キリスト教の伸張。激動の帝国の中で、ユリアヌスは敢然と理想と正義を掲げるのだった……。流麗な文章で見事に書き込まれたユリアヌスの生き様を見るべし! お勧めです。



僕も含め多くの日本人にとって、キリスト教はよく分からないというのが実際なところでしょう。その点では、ユリアヌスの思考に共感できる部分が強いのかもしれません。実際主義の伝統的ローマ人にとって、神の国を求めるキリスト教徒は現実の責任放棄にしか見えなかったのでしょうね。