「昭和天皇」

昭和天皇

昭和天皇

平成17年も今日で最後。もう今の学生さんは昭和の時代なんて知らないんだろうなあ……。そんな「昭和は遠くなりにけり」の昨今、考えてみれば僕も昭和天皇のことはあまり知らなかったので、手にとってみました。著者は保阪正康さん。先日の「あの戦争はなんだったのか」に続いて、なんだか保阪さんづいてます。各種資料のほか証人たちに直接聞いた話も多く入っているのが特徴的で、説得力を感じました(もっとも、その分客観性に欠けるという見方もあるようですが)。
この本で書かれた昭和天皇像は、平和と自然を愛し、常に国民と歩む覚悟を生涯保ち続けた温厚な紳士。立憲君主制の範たろうと、自らの強い意思表明を避けたがゆえに、望まない戦争を導いてしまった悲劇の人です。あくまで「著者の視点を信じれば」ではありますけど、おそらく基本的なところでは間違いないのでしょう。いまさらながら立派な方だったんだなあと思うことしきりでした。一部の人が「昭和の日」を作ろうと主張する気持ちも分からないでもありませんね(個人的にはみどりの日で良いと思いますが)。