ナショナリズムの練習問題
- 作者: 井崎正敏
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2005/04
- メディア: 新書
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もともとの歴史的要素、さらには先の大戦の敗北も加わって錯綜、混乱を見せる日本のナショナリズムを展望した一冊。練習問題と言うタイトルだけあって平易な言葉で基礎からナショナリズムというものを考えることが出来ました。
人間に集団所属意識がある限りナショナリズムという感覚は無くならないでしょうから、いかに良い方向に使うかということが大事と言えましょう。排外的、自大的なナショナリズムではなく、共感と行動のナショナリズムへ。その感覚を日本も獲得していければ良いなと思いました。
興味深かったのは著者の天皇制に対する意見。「象徴」としての天皇家の役割を十分に評価しながらも、有効だからこそそれに日本人が甘えてしまうことを危惧し、天皇家の公的機構からの開放を提案しています。いわば天皇家の民営化でしょうかね。確かに、憲法の初めから国家機構にがんじがらめにするのではなく、一宗教法人として存続していった方が皇族自身のためにも良いような気はします(最近の騒動を見ましてもね……)。ある意味そこで日本人がきっちりやっていけるかどうかが問われると。実際にやったらどの程度の影響があるのか見えにくいですが、結構同感の見方でした。