はるのあしおと日記 その5

篠宮智夏シナリオ

……ごめんなさい、侮ってました。これまでとは一風変わって同僚幼馴染のシナリオ。メインの3人が終わった後のおまけ的な扱いかと思ってしまっておりましたが……よもやはるあしのグランドフィナーレを飾る重要な役どころであったとは。良い方向に予想を裏切られましたよ。

「きれいな話だったなあ」というのが第一に思い浮かぶ感想です。他の3人に比べて多少小粒ではありましたが、それだけにきっちりとまとまっていました。智夏から告白された時点ではまだ受けられないというのも、その後次第に彼女に敬意と好感を持つようになっていくというのも流れがスムーズで説得力があったと思います。
智夏のキャラクターも、単に天然ボケロリ系キャラという作りならばこれほど感情移入できなかったでしょうが、その強さと優しさ、樹と離れていた間の成長ぶりもしっかり書かれているので文句はありません。考えてみると、樹が芽吹野に残ることになるのは和シナリオにおける選択か、この智夏シナリオしかないんですよね。共通するのは樹と対等以上な存在という点でしょうか。中でも選択なしで決定のこのシナリオは、樹が再び東京に出ずとも目標と居場所を見つけられたことを示していて、ラストにふさわしい似合いの二人でないかと思いました。ここまでさほど出番も無い智夏が最後を締めるというのは多少構成として統一が無いようですが、これだけのお話を見せられますと、むしろこれまでがおまけで智夏がメインで良いですと言いたくなってしまうほどです。だいたい、ラストのムービーはほとんど反則(苦笑)。いや、参りました。

後味のさわやかさと、同時に感じるこの世界と離れることへの寂しさ。こういう気持ちになるという時点で、良い作品だったなあと思います。


次回は総評などを。