「ハウルの動く城」感想

見てきました。アニメ映画としては間違いなく上の出来だと思いますし、楽しかったです。ただ、「宮崎アニメ」に期待するラインを考えると正直ちょっと不満かなと。作画の美麗さ、動きの楽しさ、キャラの掛け合いの軽妙さに、魔法のドアなど小道具の書き方もさすがでしたが、全体を貫くストーリーのカタルシスに乏しいといいましょうか。千尋のときにも同じような感想だったのですが、どうも最近の宮崎さんの作品は展開が地味に感じられるんですよね。このハウルも場面場面は面白いのですが、結局どんなお話なんだかという印象は残ってしまいました。

何で戦争やっているのかあたりも謎でしたが、一番困ったのはソフィーの呪いが解けたのだかなんだか説明が無い点でしょうか。母親との再会も一目で彼女と分かるのは変に感じられましたし。この辺、描いていてくれても良いのになあ、と思いました。

キャラクターですが、ハウルは何を考えているのか分かりにくいところがあるものの、素直にかっこよくて好青年。木村拓哉さんの声も予想外に問題なしでした。というか、むしろ良かったと思います。でもこの作品の最重要キャラは実はカルシファーでしょう。彼(?)のおかげでぐっと楽しくなっていると思います。なんでも原作タイトルは「魔法使いハウルと火の悪魔」だそうですから、元来は主人公格だったのでしょう。さすが(原作、いつかどこかで読んだかもしれないなあ……。かすかに記憶にあるような)。
あと、久々にヨーロッパ風だった世界美術も良かったです。トトロや千尋の和風よりも、個人的にはこちらのほうがジブリらしいイメージなので。
まあ、あんまり難しいこと考えずにお城の動きを見ていて、それだけで楽しい作品ではありました。こちらは宮崎さんの作品だとどうしてもナウシカラピュタあたりの衝撃を忘れられないのですが、作り手側もあえてその方向は外してあるのかもしれませんし。ちなみに一番愉快だったのは「引越し」のシーンだったりしました。楽そうで良いなあ(笑)