「雲のむこう、約束の場所」感想

行って来ました渋谷シネマライズ。11時30分からの二回目の上映だったんですが、15分前でチケット購入。館から外に見える列も少なかったので意外と混まないのかなと思ったのですが、館内では結構並んでいました。閑古鳥でなくて良かったと一安心。取材のカメラなども来てたようでしたが、果たして今後どれほどマスコミに取り上げられていきますか。気になるところです。他には初日ということで、上映前に新海監督や萩原聖人さんの舞台挨拶もありました。実は舞台挨拶なんて聞くのは初めてだったりしますが、お二方とも人柄良さそうだなあという印象でした。
で、肝心の内容ですが、「良いもの見せてもらいました」というのが一番です。新海さんならでは、と言うしかない美麗な背景美術の数々。空に、雲に、雪に、草原に、駅舎に、校舎に。多彩な光が照らす絵は綺麗の一言でした。逆に一枚一枚が強すぎて長いと厳しいかなという不安もあったのですが、そんなことも無かったですね。音楽もなかなか良かったです。
お話のほうはというと、事前情報で分かるようにイリヤの空とか最終兵器彼女とか、その辺りの雰囲気で。どこか小馬鹿にしたようなニュアンスもあるのであまり使いたくない言葉ですが、いわゆるセカイ系というやつでしょうか。細かくは下記ネタバレ部分に書きます。
昨日も書いたように元の期待値がとても大きかったので、あえて「期待以上だった」とは言いません。今後もっともっと良い作品を作って欲しいですし。ですが、十分に良い作品にしあがっていると思いました。多少なりとも興味のある方はぜひとも見に行かれることをお勧めします。なお個人的には、最初の30分がものすごく面白くて、中盤の40分が少し単調で、最後の20分がかなり面白いというところでした。端的に言えば、主役三人が出ているときが面白くて、おじさんたちがしゃべっているところはそうでもなかったということです。


以下、ネタバレで。

新海監督の前作「ほしのこえ」で一番疑問に感じたのは、ワープ航法できる科学力をもちながら、なんでいちいち携帯でメールを送らなければならないのかということでした。で、今回もストーリー面にはいささか難を感じてしまう部分があります。サユリの発病理由が不明だったり、岡部と冨澤が何をやりたかったのかいまいち分かりにくかったり、並行世界にアクセスするという設定がどうしても嘘っぽく見えたり。なにより謎だったのが「塔」の存在意義でした。塔が稼動すればユニオン側も滅びる、というか真っ先にユニオン側が消え去ってしまうのは明白。何を考えてあんなもの建ててたんでしょうか? しかもミサイル一発で破壊されてしまうというのがまたあっけない。このあたりの説明や説得力はちょっと不足に感じられました。


P・S なんとなく思い立って「ロケットの夏」のエンディングソングを聴いてみました。相当に歌詞がぴったりです。もっともロケ夏の場合は行き先が宇宙なわけなんですが。