日本シリーズを振り返って 全般編

結果西武が勝利を収めたわけですが、全体的に見て流れは中日にあったと思います。初戦を落としたのは計算外だったことでしょうが、それでも二戦目に松坂を打ち崩して逆転。三戦目はカブレラに被弾して落合監督の継投失敗が取りざたされるものの、四戦目、五戦目はそれを忘れさせるかのような敵地での圧勝。ムード的には最高でしたし、シリーズで多少浮き足立っていた面もあったとはいえ、野球の上手さ、いやらしさでも中日の方が上回っていました。西武のほうはシーズン中から見られた守備ミス、走塁ミスが例によって頻発していましたし、ファンから見ても「これは一気に決められるか」と覚悟するところでした。
では、どこでこういう結果に切り替わってしまったのか。もちろん色々細かいところはあったのでしょうが、一点にしぼれば第六戦の和田の逆転ホームラン。これに尽きるのではないでしょうか。あの試合も、松坂を立てて必勝を期しながら1−2と逆転され、西武は追い詰められていました。山本昌のピッチングも丁寧で、和田の一振りが無かったらおそらくそのまま中日が日本一ということになっていたと思います。そんながけっぷちで粘りに粘り、最後やや甘く入ったとはいえボール球をスタンドまで叩き込んだキャプテンの姿。個人の力でそれまでの流れを一気に逆転させるという、凄みのあるシーンでした。最終第7戦はそれまでの反動か、ツキはことごとく西武に。意外とあっけない試合となってしまいましたが、それはそれで野球のもつ魔力を見せつけられたのかもしれません。
しかし12年ぶりの日本一かあ……。もちろんすごいし嬉しいんですが、心のどこかにプレーオフ制の矛盾が引っかかっていることも否めないです。「じゃあダイエーの強さはどういうことになるんだろう?」という感じで。ただ、日本ハムダイエーの分まで背負っていたから最後勝てたのかなという気もするんですよね。今年のパリーグは色々ありすぎましたから、最後の勝利で面目を保てたのはなにより良かったと思います。「これからはパリーグです」新庄の名言をなんとなく思い起こして、今シーズンの幕としますか。