「空の境界」

空の境界 上 (講談社ノベルス)

空の境界 上 (講談社ノベルス)

いまさらですが「空の境界」、買うほどの意欲はおきなかったので借りるの待ちでした。
まず読み終わって一番の印象、「奈須さん、文章下手だなあ」(すみません)。どうも読んでいて流れが悪いというか、ゴツゴツしたような文に思えました。同じような言い回しも多用されますしね。月姫やフェイトでは感じなかったところを見ると、やはり年月を経て上手くなったということでしょうか。それとも、どちらかというと小説よりもノベルゲーム向きの文章ということなのでしょうか。なんとも分かりかねるところです。読みにくさに拍車をかけているのが視点キャラクターと時間軸が頻繁に、あまりに頻繁に入れ替わること。わざと混乱させる手法、というわけでもないように見受けられますので、せめて変わった時にはどのキャラの視点なのか書いておいて欲しかったと思いました。
お話の内容についてですが、式の直死の魔眼が意外に脇設定的というか、魅力のない書き方でしたね。式自体、さほど能力について語ってませんし、一人称でないと書きにくそうでもあります。その点、視点を直死の魔眼の持ち主にしぼり、かつビジュアルで死の線の表現をもしてしまった月姫はやはり偉大だったのでしょう。鮮花やアラヤなどのキャラクターを見ていても、どうしても月姫と比較してみてしまいますし、実際月姫のほうが完成度が高いと思います。結局「良くも悪くも月姫の前身」というのが感想でした。
今の奈須さんの力量で文章を書いたらまた違ってきたでしょうか? どうせ出版されるのなら、全編リライトして欲しかったような気もしましたが、それは贅沢というものですかね?