「四季 春」(森博嗣) ISBN:4061823337

S&Mシリーズでおなじみ、真賀田四季博士を書いた四部作のスタート。この巻は彼女の幼少時代が書かれていきます。一応殺人事件もあったりしますが、それは枝葉な感じでした。メインはやはり、6歳にしてすでに周囲の人々を相手にしないほどの天才を見せつける四季のありようなのでしょう。本の内容など一目見ただけで理解記憶し、各種言語のマスターも楽々。卓越した計算力と分析力。もはや人間の域を超えた速度と深さで進む彼女の思索はいったいどこにたどりつくのか……。森さんはよほど彼女のキャラクターを書きたかったんだろうなと思わされる一品でした。続刊も期待。
それにしましても、本当に彼女みたいな人は存在しうるのでしょうか? 「頭の良さ」なんてなかなか計れるものでもないでしょうが、歴史上一番こうした能力に秀でていた人はどの程度のものだったのか、などと考えてしまいました。……というより凡人にもそのくらいの能力が備わっていてくれれば物忘れに苦しむこともないのですけどね。人間知能の進化というのはどうも中途半端であるのかもしれません。