ライトノベル完全読本(日経BP社) ISBN:4822217043

なかなかでした。本の紹介はもちろん、対談やコラムなんかも充実していましたし、1000円なら納得かと。欲を言えば一冊一冊の書評をさらに詳しくやって欲しかったと思いますが、ライトノベルについて広くまとめた本は貴重ですので、結構売れるのではないでしょうか。なんとなく日経さんに乗せられているような気もしないでもないですが。まあこういった本が出ること自体、ライトノベルに勢いがあることの証明なのでしょうね。ただ、こうした企画に触れるとあらためて迷ってしまうのは、ライトノベルというものをどういう価値付けで見るかということだったりします。この本の巻頭言にあるように「優れた作品、優れた作家が正当に評価されていない」という面は確かにあるでしょうが、褒め上げるのもなにか違う気はしますし……。「ジャンルにとらわれず、面白いものは面白い」というのが正当といえば正当なのでしょうけど、そこに”質の上下”というものがあるのか無いのか、良く分からないのです。まあ、こういう風に考えてしまうこと自体「ライトノベル=低級」という世間の価値観の影響もあるのでしょうが……。
ところで、コラムの中では金原さんのものに驚き。大学のゼミで秋山瑞人さんや古橋秀之さんを教えていた氏の娘さんが、芥川賞を取った金原ひとみさんなのですか。恥ずかしながら知りませんでした。世の中色々つながりがあるものですねえ。