その6・西武ライオンズ

やっと6球団目まで来ました。



●投手陣 ★★★★

昨年のチーム防御率4.29はリーグ1位と優勝チームにふさわしい結果。とはいえ内実はかなり苦労した印象が強く、「投手王国」を名乗るには力不足という感じもあります。先発はエース松坂は万全として、その後が問題。西口に帆足、張に石井貴といった名前は上がりますが、それぞれ故障がちだったり不安定だったりしてどれだけ計算が出来るのか不安も残りますね。それでも力がある面々なのは確かで、悪いということは無いと思いますが……。他の候補としては新人涌井に、後藤光、岡本、許、大沼、三井ら。オープン戦で一躍脚光を浴びた涌井にももちろん期待ですが、期待の新戦力としては岡本も取り上げたいです。ルーキーイヤーの昨季は1勝にとどまりましたが、その1勝をあげたときのピッチングが素晴らしかった。強打ホークス打線を相手に切れの良い真っ直ぐとスライダーで真っ向勝負。成長すればかなり良いピッチャーになるだろうと思わされたものです。オープン戦で好調につき、このまま先発陣の中に割って入れるか注目。

リリーフ陣はおおむね堅調でしょう。去年経験を積んだ長田や大沼、小野寺といった若手に、守護神豊田も健在です。ただ左がちょっと不足でしょうか。唯一頼れる星野が去年獅子奮迅の活躍だっただけに、反動が心配でもあります。あと忘れてはならない森慎二。去年の不調はそれまでの酷使の影響ということでしょうがないと思うのですが、今年は何とか復調してもらいたいものです。




●野手陣 ★★★★

今のライオンズ打線を一言で評するならば「オーソドックス」。ソフトバンク日本ハムのような重量感は無いですが、バランスよく教科書的にまとまった打線であると思います。まず1、2番は昨年ポストシーズンで固定された佐藤、赤田がどうやらこのまま定着。両者とも実績は少ないですが、仮に不調に陥っても小関や柴田が控えていますので心配ありません。俊足柴田が使えないのがもったいないくらいです。3、4、5番はフェルナンデス、カブレラ、和田で文句なしですね。今年はカブレラが最初からいるのが大きい。貧打と言われた数年前が遠くかすんで見える強力なクリーンアップです。6番はやや流動的ですがメインは貝塚でしょう。もともと隔年タイプで、去年プレーオフで陥った不振も気になりますが、3割打った実績は言うまでもありません。で、7番は去年ブレイクの中島。今年はいっそうの飛躍が期待されます。もう少し打順を上げても良い気はしますが(水痘のフェルナンデスに代わり開幕は3番か?)、6番にすると右が続いてしまうので結局ここかなと。8番はキャッチャー。ここは打撃よりも守備の問題ですね。ファンの間では強肩&パンチ力&若さの細川を推す声が多いようでもありますが、伊東監督は守備の安定感で野田を買っている模様? ただ野田も故障でレギュラー取りのチャンスを逸し、日本シリーズでも中日打線にとらえられてしまうなど、いまいち勝負弱い感があり、現時点では決め手がありません。私的にはやはり細川にのびてもらいたいですね。最後、9番は高木浩でしょう。率はさほど高くないものの、現在の西武内野陣で彼の守備を欠かすことは出来ません。ただ気になるのはセ主催時の交流試合。DHが使えないと下位が弱くなるので、打撃を買ってセカンドに石井義や平尾の起用もあるかもしれません。

控え層では大島、中村といった期待の若手に加え、復活かける高木大成に注目。レギュラーまでは苦しいにしろ、まずは代打の切り札目指して存在感を見せて欲しいです。




★私的注目選手 その1・松坂大輔

説明不要のエース。去年の成績10勝6敗は五輪離脱があったとはいえやや低調にうつるかもしれませんが、そのすごさは両リーグ最多の5完封という数字に表れていると思います。しかもその内3試合が1−0という最小得失点差でのもの。はっきり言って好調時の松坂はもはやNPBのレベルを超えています。見ていても格が違いますもん。防御率2.90は1位なわけですが、これも5月の2試合で19失点という大乱調が無ければ更にものすごいことになっていたのではないかと。

ただ、毎年20勝と言われながら最高16勝どまりはちょっと物足りません。今オフはポスティングによるメジャー行きがささやかれていますが、行くんだったら最後に「これぞ松坂」と伝説に残るようなシーズンを築いていただきたいです。




★私的注目選手 その2・西口文也

淡々と投げ続け、西武を支える大黒柱。一昨年は6勝止まり、防御率も6点の落ち込みで心配しましたが、昨季は見事に持ち直し自身8回目の二ケタ勝利をマークしました。もっとも「持ち直した」というのは正確ではないかもしれません。昨季の投球内容はここ数年で一番良かったです。15勝した2002年より上だったのではないかと思いますね。一時期落ち込んでいた直球がコンスタントに145ぐらい出て、伝家の宝刀スライダーが効果抜群に決まってました。故障離脱が何回かあって活躍の印象は薄くなってしまいましたが、年間通せばタイトルも狙えただけに惜しかったです。

なんだか当たり前のように活躍しているのであまり騒がれていない感はありますが、西口と松坂というタイプの違う両エースのピッチングを見られると言うのは、西武ファンにとって最大の贅沢ではないかと思います。今年も小気味良いピッチングで相手打者をきりきり舞いさせる姿を期待。