その10 目明し編終了

悲痛だ……。復讐にとらわれ鬼と化し、殺人者として大罪を背負い、地獄に墜ちゆく詩音(あくまで「詩音」ということで)。そして彼女に次々と殺された人々。本当に、どこまでも悲しくて辛い物語でした。最後の、幸せな詩音と沙都子のCGになんと感想を言ったら良いのか。BGM「Sister」が「過ぎ去った遠い日」を強烈に想起させて、ただただ切ないです。


双子の入れ替わりネタというのは常道で、話に双子が出てきたら真っ先に考えられることでありますが、このエピソードでは昔に入れ替わり、また現代に入れ替わるという二重性の妙がありました。今まで魅音だと信じていた存在が実は詩音だった。名前だけで内実までが変わったわけではないですが、ちょっとショックがありますね。「姉のほうが素質を持っている」ってまさかそういうことだったとは……。やられました。それにしてもレナは本当に気づいていなかったのでしょうか。詩音同様期待しすぎかもしれませんが、あのレナは無敵にも見えたのでちょっと失望感もあったり。プレイヤーにそういう同調をさせる時点で上手い文章ともいえましょう。


綿流し編」の回答編として期待以上の読み応えを味あわせてくれました。良作長編を読んだあとに特有の虚脱感と一抹の寂しさ。でもこういうのがあるから物語読みは止められないんですねえ。まだ数編残っていますが、現時点での評価では間違いなく傑作かと。取りためておいたアニメ版も見ないと。