「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 REBUILD OF EVANGELION 序」

異常に面白かった。



なるほど期待はしておりました。予告編を見て胸を膨らましておりましたよ。しかししかし、作品はこちらのそんな期待など軽く飛び越えた素晴らしい出来栄えでありました。「面白い」としか評しようのない充実した100分間でしたよ。


懐かしさと新しさの入り混じった不思議な感覚。すべて新たに起こされた美麗な映像は、作品世界をさらにスケールアップさせ、圧倒的な力で見る者を惹きつけます。追加されたシーンやセリフは、TV版で十分と思えた場面をさえ、より一層深めてくれます。そして燃える決戦! 「さすがエヴァ」と、ただこちらは堪能するばかりでした。


感想を書くとき、「ひょっとしたら面白いと思っているのは少数派なのかも」と思ったりすることがあり、「時をかける少女」ですらそんな部分があったのですが、今作に関してはかなりの自信を持って断言できます。「エヴァ好きな人ならば絶対に見るべき!」だと(もちろん、初見の方にも強くお薦めできます)。何しろ、映画を見て、即「絶対DVD買おう」と思ったのは今作が初めてですから。


庵野監督の言葉で「この12年、エヴァより新しいアニメはなかった」という一節があり、一歩間違えばただの傲慢なのですが、これを見せつけられるとうなずかざるを得ません。やっぱりすごいや。



さて、以下内容ネタバレで。




さっそく使徒襲来。「時に、2015年」が無いのはまあ時代の流れといいますか、セカンドインパクトが1999年だとおかしいですからね。この辺も、リメイクではなく、「新世紀版」を作っていくのだという意思が感じられます。しかしサキエルが「第4の使徒」と来ました。ひゃー、順番が変わってる〜。いきなりの設定に驚かされます。事前情報は見てませんでしたし。


ミサトがシンジをネルフに案内し、リツコとエレベーターに乗り合わせた時に「マルドゥックの報告書によるサードチルドレン」というセリフは無し。まあ機密事項なんでしょうし、ペラペラしゃべるほうがまずいということでしょう。「チルドレン」という用語自体カットされた節もありますね。やっぱり複数形がまずかったのでしょうか。


ミサトとリツコの友人らしいシーンが増えたのも見どころでした。シンジのことを「思ったよりナイーブで扱いにくい」とこぼすミサトの本音も共感できるところ。ただこんなところでもゲンドウ‐リツコラインからシンジを操るための暗躍が。あのカードを媒介にしてシンジとレイを近づけることまでシナリオどおりだったとは。ううむ、なんてことでしょうか。


ラミエル襲来。これまた強い、強すぎです。TV版でも強かったのに、輪をかけてます。変化自由自在でドリルもかっこよくなりました。そして今作のクライマックス、ヤシマ作戦の発動へ向かうわけですが……。


作品全体を通じて、シンジとミサトの交流が、TV版以上に深く書き込まれていたのが印象的でした。そもそも、シンジがエヴァに乗ることを嫌がるのは特におかしなことではなく、あれだけ辛い思いをすれば当然の反応でしょう。でも乗ってもらわねばならない。上司として、家族としてのミサトの懊悩も伝わります。それでも、エヴァにもう一度乗ることを選んだシンジ。そして彼を信じ、ゲンドウの指示に反対したミサト。エヴァ初号機が再びポジトロンライフルを手に取る姿に涙でした。


TV版ではこの場面、レイの存在感があまりにも大きいのですが、もちろん今作でもレイが盾になるシーンはぐっと来るのですが、それより何より、シンジの戦いの物語として見事に再構成されていたと思いますね。


最後にカヲル君が早くも顔見せ。「また3番目」云々は、実はこの世界はEOE版の後日世界とかそういう雰囲気も匂わせましたね。でもこれはミスリードの可能性もあるのかも。宇多田ヒカルさんのテーマソングが流れたあとに次回予告。これまた予想のかなり上を行く方向だったので、次回が楽しみでなりません。きっと次回が終わったときは、その次が楽しみでたまらなくなるんだろうなあ。


魔法少女リリカルなのはStrikers 第22話「Pain to Pain」

戦いは終わることなく続きます。あとしばらく続きそうな気配であり、一回のバトルとしてはシリーズ最長のものになりそうですね。ただその分、散漫になっている感は否めません。フェイトとスカリエッティの戦い(というより、スカリエッティの赤いラインとの戦いですか)などには、なのはシリーズらしい面白みがあったのですが、キャラクターが各所で分散しているので、なかなか勢いが続きません。前回「いざピンチ!」って感じだったティアナやヴィータがほとんど描かれない作りは、肩透かしな感も残りました。はやてにいたっては地味すぎてもう……。


今回の名台詞はキャロがルーテシアに向けた「ルーちゃん!」……じゃなくて、「幸せになりたいなら(中略)人を傷つけちゃ駄目だよ!」ですね。ただちょっと重みに欠けるかもしれない。キャロにそれを言わせるだけの積み重ねがあったかどうかは微妙なところではあります。う〜ん、今期にはそういうのが多いんですよね。単体では良いセリフ、燃える行動でも、そこに至る土台がやや見えにくいといいますか。


もう一つ、なのはのセリフで「私は自分のことばかりだから」というのがありましたね。なのははよく他者に気を使いますし、これまでもフェイトやリインフォース、多くの要救助者のために身を張ってがんばってきたようにしか見えないのですが、当人認識は素直にそんなものなのかもしれません。まあ、空を飛んでバトルするのは確かになのは自身の趣味っぽくはありますけどね。

ロミオ×ジュリエット 第20話「使命〜揺ぎなき一歩〜」

反モンタギュー勢力がネオ・ヴェローナを押さえたのであるなら、むしろロミオがのこのこと戻るのはまずいというか非常に危険ではないかと思うのですが、そのへんはあまり考慮されていないのでしょうか。どうも、ハーマイオニをそのまま返したあたりといい、シナリオの「甘さ」を感じてしまいます。


ただし、徹頭徹尾甘さが無いのがモンタギュー大公その人で、罪の無い議長を斬り捨てて市民街の焼き払いを可決させる。これではもう「恐怖政治」の域も超えてただの暴力者です。一応可決したものの、さすがに貴族達もやる気なし。ゴマすり的に賛成したマキューシオも、根は小心だけに実行役を命ぜられて放り出したい気分でしょう。


形勢はもうキュピレット側にあり。主役二人もすっかり相思相愛で、当初の勢いが鈍りがちな感のあったロミジュリですが、ここに来て思わぬ方面から深刻な事態が。世界(といってもあの浮遊大陸だけという感じですが)を守るために、ジュリエットがあの大樹の苗床にならないといけないとは!? なぜジュリエットなのかという疑問も残しつつ、果たして彼女の決断と物語の行く末はどうなるのか、また緊迫感が出てきました。