「天皇が十九人いた―さまざまなる戦後」

日本が大きく混乱した戦中、そして戦後。自称天皇達、昭和天皇東条英機鶴田浩二市川雷蔵ら様々な人々を丁寧に調べて書きだしたルポタージュ集です。


特に印象的だったのは沖縄戦における一人の少女の話を扱った、「白い旗の少女」。元になったエピソードはドラマ化されたということでWikipediaにも記事がありますが、絶望的状況下における住民の悲惨がひしひしと伝わってきました。アメリカ軍が投降を呼びかけても、日本軍はそれを許さず、出ていこうとした住民を後ろから撃ち殺したりもする。久々に戦争の理不尽と恐怖を味わうような思いでした。


あとは市川雷蔵ですね。名前くらいしか知らなかったのですが、それほどすごい役者だったとは。機会があったら出演作を見てみたいです。


その他のエピソードも著者の真面目な取材ぶりが反映され、一編一編は決して長くはないものの、密度が濃くて読み応えのある一冊でした。