魔法少女まどか☆マギカ 第9話「そんなの、あたしが許さない」

面白いのは間違いないですが、毎回見るのに精神力がいる作品ですね。再生ボタンを押す前にちょっと気合を入れてしまいます。


魔女と化してしまったさやか。さやかの「体」を抱きとどめた杏子を見て、「なんだ、さやかは無事なのかな」と一瞬考えてしまった僕でしたが、そうでした、あれはただの抜け殻なんでしたね。まだ人間の常識から抜け出せていませんでした。やっぱり、さやかはまぎれもなく魔女になってしまったのです。


「それが、魔法少女になった者の、逃れられない運命」


ソウルジェムを浄化し続ければずっと魔法少女を続けられるとも言えそうですが、さやかが魔女となってしまうまでのペースがかなり早かったですからねえ。おそらく戦うだけではなく、生きているだけで消耗するのでしょう。結構綱渡りなのかも。……それにしても、なんでまどかは線路の上を歩いているのか。演出的な意図はあるにしても、彼女の真面目な性格からして違和感でした。夜とは言え電車も走っているのだから、危ないでしょう。


そして、ついに明かされたキュゥべえの目的。それは少女の感情をエネルギーに変換し、宇宙の寿命をのばすことでした。エネルギーは保存されるので、キュゥべえの「目減りする」というのは説明を端折ってますね。使いにくい熱エネルギーに変わってしまうということでしょう。もっとも、今の宇宙がそこまでエネルギー不足とも思えません。キュゥべえたちも気の早いことです。


余談ですが、男性向けの魔法少女モノって、魔法にSF的理屈がつきがちなような。それも楽しいんですが、あまり説明するとそれは魔法じゃないんじゃないかという気がしないでもありません。


「そういうもんじゃん? 最後に愛と勇気が勝つストーリーってのは」


杏子はそう語ってみたものの、今作はそういうストーリーじゃないという悲しさ。これでさやかも杏子もお別れなんでしょうか? 率直なところ、杏子というキャラは最初の殺し合いからさやかの友人的ポジションへの変化が急すぎて、いまいち掴めないままで終わってしまった感じなんですが、寂しい限りです。


また、さやかの作り出した世界がオーケストラの劇場をモチーフにしていたのが切なかったです。そうして思い返すと、これまでの魔女も人間時代の思いが様々な空間を生み出していたんでしょうね。


杏子の離脱すらキュゥべえの計算のうち。なにがなんでもまどかを魔法少女にさせようと、恐ろしい執念です。本当に彼には「感情がない」んでしょうか? まどかは別に負い目を感じる必要はないし、さやかも杏子もほむらも言うように魔法少女になんかなる必要はない、のですが、相手がいやらしくしつこすぎて、もうどうしたものやらですね……。