「チェ 39歳別れの手紙」

革命成り、キューバで政府幹部としての地位が約束されていたゲバラ。しかし彼はそんな生活を捨て、カストロに別れの手紙を書いた。世界の苦しんでいる人民のために自分の力を役立てたいと。コンゴを経て、彼の戦いの場は南米ボリビアにうつる……。


地位を捨て、身一つで革命活動に自らを投じてしまうゲバラの行動は勇敢なのか無謀なのか、なんと評して良いか分かりませんが、常人には真似できないことは間違いありません。この辺が英雄といわれる所以なのでしょうね。


しかし、この後編は前編に比べ暗鬱です。いや、実は前編もそれほど明るい作りではなかったですけどね。それでも、最終的勝利と、キューバの美しい風景(ブルーレイ画質で一層素晴らしい。もっとも、ロケ地はプエルトリコだったそうですが……)が心を明るくしてくれました。しかしながら、今作は革命が頓挫し、ゲバラが死ぬまでの物語です。明るくなりようがありません。ボリビアの風景が悪いというつもりはありませんが、ずっと山中で暗いですし。


キューバの時は上手くいったのに、少しずつ狂っていく目算。ゲバラは喘息に苦しみ、住民は軍に屈服させられ、特殊部隊はゲリラ作戦を潰していく。革命軍が行き詰る様子が淡々と描かれていきます。


ついにボリビア軍に捕らえられ、処刑されたゲバラ。映画はラスト、グランマ号でキューバに向かう若き日の彼を映し出して終わります。一つの革命の影には無数の挫折がある。その重みを感じさせられました。


派手さは無く、ちょっと分かりにくいところもありましたが、気迫を込めてゲバラの生き様を描いた、良い映画だったと思います。