「さよならピアノソナタ―encore pieces」

また彼ら彼女たちに会える! それだけで嬉しい珠玉の短編集。まさに「encore」の期待に応えてくれる一冊でありました。なお、「アンコール」のつづりが「encore」だとは、この本を見るまで知らなかった僕です。


高校を卒業し、音楽業界で働く直巳と、ピアニストとして活躍する真冬。2人組でメジャーバンドとなった響子と千晶。後日譚とはいえ、主人公とヒロインが普通に成人して社会人やっているラノベは珍しいかもしれません。


思い起こせば最終巻は、直巳と真冬が再会したところで終了し、未来は読者の想像にゆだねられる形でした。それはそれで余韻を残したものの、いささか寂しくも感じられるものでした。だから、こうした未来像を見られたことが嬉しいですね。


直巳と真冬が結婚かあ……。表紙のウェディングドレス真冬は反則的です。生徒会の一存椎名真冬ちゃんも良いですが、やっぱり真冬と言えば蛯沢真冬ですよね。いやまあ、桧川真冬になっちゃうんですが。


ちょっと意外だったのは千晶がプロになったことですかね。もともと才能があったというような描写もありませんでしたし、あくまで高校での趣味のドラムだと思ってました。でも、色々あって、響子に追いつこうと努力して、結果的にそういう道になったんでしょうねえ。欲を言うと、その部分の千晶の話と、あと、真冬の一人称の話も読みたかったかもです。


これで今度こそお別れですかね。寂しいですけど、良かった。