「遺伝子があなたをそうさせる―喫煙からダイエットまで」

遺伝子があなたをそうさせる―喫煙からダイエットまで

遺伝子があなたをそうさせる―喫煙からダイエットまで

はたして遺伝子は、どこまで人間の体質、気質を決定しているのか。現代遺伝学の知見を、分かりやすく丁寧に紹介した本です。原書は1998年前の出版なので「最新」というにはちょっと古いのですが、大筋は今でも変わっていないでしょう。


本書を読むと、遺伝子が寿命とか病気とか、そういった身体的なことだけではなく、人の気質の根本的な部分を定めているということが痛感されます。と、言うより結局、心身は同一ということでしょうか。「太りやすい体質」にしても、単にエネルギーの消費量が違うというだけでなく、セロトニンの影響により空腹の感じ方さえも違ってくるとか。


不安がったり、怒りっぽかったり、お酒やタバコに依存したりしやすい気質は、遺伝により決定し、一生変わらないと筆者は書きます。もっとも、本書は遺伝子決定論ではなく、「気質」は決定していても「性格」は「努力と環境」によって変えることができると、繰り返し説いてもいます。


……ただ、こういう話を読むと、いくら努力で変われると言っても、スタート地点で不平等だよなあ、とあらためて痛感しないでもありません。思いますに、こういった遺伝子の影響力が社会の常識になったときには、血液型性格判断なんて比べ物にならないほどの影響力をもつんじゃないでしょうか? それが差別的な方向ではなく、自己を向上するための基礎知識として利用されることを願うばかりです。