「民主党―野望と野合のメカニズム」

民主党―野望と野合のメカニズム (新潮新書)

民主党―野望と野合のメカニズム (新潮新書)

自民党のグダグダ振りに、相対的に評価上昇中の民主党。今年中の政権奪取もあながち夢物語とはいえないだけに、ちょっと勉強ということで買ってきました。


著者は元民主党の事務局長だったという肩書き。もっと民主党に甘甘かと思いきや、意外と批判的なことも書いていて、ひいき一辺倒にはなっていませんでした。まあ、基本的には期待するが故の批判、って感じなんでしょうけどね。


さて、その民主党ですが、本書では副題、「野望と野合のメカニズム」とある通り、民主党が現在に至るまでの離合集散について多く紙面を割いています。まあとにかくゴチャゴチャしてて覚え切れませんが。選挙で生き残ることを初期最優先課題とした寄せ集め政党が、なんの流れか一大野党になってしまったというのが政治の世界の面白さと不思議さというところでしょうか。


しかし、その流れは今も尾を引いて、政策理念は常に先送りで曖昧になっているというのが著者の指摘であり、著者のみならず多くの人が危惧するところでありましょう。仮にも政権を担おうとする党ですから、これでは困ったものですが、はてさてどうなることやら。もし民主党が政権をとったとしても、政策力量不足で早期崩壊なんてことになったら国民の失望と損失は非常に深いものになるでしょう。その辺の責任をしっかり持って、固めてほしいものです。


あと、著者が郵政選挙における民主党のスローガン「日本を、あきらめない」を敗因の一つとした点には、頷くことしきりでした。やっぱりあのスローガンは下手でしたよねえ……(もっとも、誰がなにをしてもあの時の小泉人気にはかなわなかったであろう、とも書いていますが)。