「ヒトクイマジカル」

ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 (講談社ノベルス)

ヒトクイマジカル 殺戮奇術の匂宮兄妹 (講談社ノベルス)

辛い話でした。たくさん人が死んでいく本シリーズですが、本巻ほどガックリと来たのは初めてです。巫女子ちゃんの時も結構きましたが、それ以上に。


「死なない研究」と「死なない少女」。殺し屋の兄と名探偵の妹。役者が舞台にそろってさあ、これから何が始まるのかというところでいきなりの総退場。ページ数にして中盤のところでこれをやられてしまって、こちらとしては唖然呆然。「僕」の夢オチであって欲しいとすら思って数ページ読み進めてましたが、それは覆されることはなく。嗚呼、姫ちゃん……。


前半はいつも以上に軽快な筆致とやり取りで、どこか幸せな気分すら漂っていたので油断してしまいました。前書きでさんざん脅されたのに。この落差が痛い。


姫ちゃん、てっきりクビツリハイスクールの後は警察にご厄介になっているかと思っていたら、次巻以降普通に暮らしていて驚いたものですが、罪は消えないものの、本当に「これから」というところで殺されてしまうなんて、あんまりに無情。これも狐男のいうとおり「物語」の流れだというのならば、本作は一体どこに向かうのでしょうか。悲しい思いをしながらも、いーちゃんの変化に期待しつつ、次巻を目指すしかないです。