「ブログ論壇の誕生」

ブログ論壇の誕生 (文春新書)

ブログ論壇の誕生 (文春新書)

近年ネット上で存在感を増している「ブログ論壇」。その特性や、関わる事例を通して、ネットから生まれる新公共圏の未来を展望する一冊です。もともと「諸君」の連載記事であったということもあって、広く浅くといった印象ではありましたが、なかなかに読みやすくまとめられていて、面白くはありました。


著者はブログ論壇の担い手を1970年代生まれのいわゆるロストジェネレーションと規定し、団塊の世代を中心層とする既存のマスメディアと相克するものという見方をとります。ちょっとベタな世代論ではありますが、事実の一面ではありましょう。マスメディアでは取り上げられることの少ない若者の率直な意見、叫びがブログ論壇では表明されると。


「ネットいなご」の問題や「スパムブログ」の増加、そして、ネット上であっても議論に慣れない日本の風土等、不安点・問題点を取り上げながらも、著者が自由闊達なブログ論壇に期待し、やがて現実社会にも力強く発信できる存在となることを願っていることが伝わります。


僕が読んでも「ふむふむ」くらいで終わりますが、むしろ本書は普段ブログに親しみを持たない中高年齢層に読んでもらいたいような一冊でした。