「コードギアス 反逆のルルーシュR2 TURN―2―」

待望のギアスノベライズ第2巻。ノベライズと言っても、アニメでは描かれない補完エピソード充実で、特にナナリー。とにかくナナリーな訳ですよ。前巻に引き続き彼女が主人公格で登場しており、アニメ本編におけるナナリー成分の少なさに嘆くファンには必須のアイテムとなっております。


エリア11の総督となったものの、立ちはだかる厳しい現実。失敗に終わった特区構想に、根強いイレブンに対する差別構造。黒の騎士団は去っても、続くレジスタンスによる抵抗。心を痛めつつ、勇気を奮って立ち向かうナナリーの姿は実に凛々しく、力強く、それでいて可憐。ルルーシュやC.C.まで内心驚く彼女の大胆さは、これをアニメで見せてほしかった、と読者は心中呻くこと間違いなしです。前巻の感想でも書きましたが、ただの心優しい萌え妹キャラで終わらない、悩んだり苦しんだり傷ついたりしながらも前を向く、人間としてのナナリーが魅力的に書かれています。アニメ版における現在の彼女の境遇はご存知のとおりですが、このまま終わるとは思えないし、思いたくないですね。いや、万一終わってしまったとしても脳内でパラレルワールドを築いて抵抗しますよ。ええ、しないでか。


閑話休題。もちろん、ルルーシュ側の話もちょっとあります。C.C.は黒の騎士団内部で浮いているのかと思いきや、ゼロへの伝言役として、人望の無いディートハルトに代わって頼りにされているようで。ラクシャータとの会話も、案外気が合いそうなところを見せており、長くいるうちに実は結構馴染んでるんだなあ、と感慨を覚えたりもいたします。こういう良質な補完が見られるのも本書の良いところ。


それにしても本書、著者は岩佐まもるさんですが、一体どの辺までオリジナルなんでしょうかね。アニメでは説明不足が否めない各作戦の裏面や、それぞれの勢力、キャラクターの思惑等が、説得力をもって説明されているので、正直言って全体のバランス構成のアニメ版を上回る感じすら受けます。これが原作段階での元々の構想なのか、それとも岩佐さんの独創なのか。どちらにしても、本当に良い出来で嬉しくなってしまいますよ。