ef - a tale of memories. 第11話「ever forever」

毎回素晴らしい出来ばえなので、見入られるばかりで書くことがなくなってきました。蓮治の「デートしない」に対して「それは恋人同士がするものです」と答えるあたりからして、過去を思い出させるうまいつくりです。たとえ千尋がそれを覚えていなかったとしても。


そして二人は「一日きり」の恋人に。普通だったらただ「しゃれたことを」となりますが、千尋の病気を考えると、そうも言っていられません。デート中の二人は実にほのぼので、千尋もとても可愛らしかったですが、やがて過ぎる13時間。おそらくレンジにとっても千尋とこれほど長い間過ごすのは初めてなのでしょう。あまりに楽しかったがゆえに、刻々と消えていく千尋の記憶を思う蓮治がせつないです。


書きあがった小説は、とても悲しく、破滅的でした。この「小説」が単なる物語上のひとコマと言うだけでなく、しっかりと面白い作中作として機能していることも感心すべきところだと思うのですが、ラストは千尋が身を投げることを示唆するようで、屋上への扉が開かれたときに、千尋が振り向いてくれたことに、それだけで安堵してしまいました。でも、待っている結末はそれと似たようなもの。


「好きですといえるうちにお別れしたいんです」
「そんな、変だよ、そんな理屈…」


確かに変にも感じます。でも千尋にしてみれば自然なのかもしれません。彼女にあるのはあくまでその日一日だけ。もう二度とめぐってこないであろう最高の一日を手に入れたら、そこで身を引くのが自分のためにも蓮治のためにもベストだという決意。朝日に舞い散る千尋の日記は悲しくも美しいシーンでした。