「曼荼羅の人 空海求法伝」

曼陀羅の人〈下〉―空海求法伝

曼陀羅の人〈下〉―空海求法伝

歴史小説の大家といえばまず司馬遼太郎さんの名前があがるのかもしれませんが、僕は陳舜臣さん好きですね。読みやすさと奥深さが同居しているように思われます(司馬さんもそうですけど)。


今作はタイトルどおり、若い頃の空海が唐に渡ったときの事を書いた話です。仏僧らしく控えめながらも超人的な才気にあふれ、日本に密教を広めんとの意気高い空海と、彼と関わった当時の唐の人々の姿が面白い。


無名の日本人僧でありながら、唐の高僧恵果に認められ、阿闍梨として認められるという快挙。これが歴史的事実であることにあらためて驚かされます。そしてまた、当時の東アジアが(一部の人にとってだけとはいえ)予想以上に国際的であったという描写も見逃せないところ。キリスト教イスラム教も登場し、空海の思索を広げます。


小説創作の部分も多いことでしょうが、空海が偉大な人物であったことは間違いないのでしょう。もっと知りたくなりました。


そういえば神奈を呪ったのは高野山金剛峯寺でしたっけねえ……。