sola 第13話「ソラ」

面白い作品の最終回を見る前には、どこか特別な思いが胸をよぎります。「もうこの作品も最後か」という寂しさと、「ここまで来て最後こけたらやだなあ」という不安と。このsolaも、そういう思いを抱かせてくれた良作でありました。


対峙する茉莉と蒼乃。実はアクションシーンの派手さに気を取られて2人の行動目的を忘れがちだったりしたのですが、つまり茉莉は自らの命を譲る形で蒼乃を人間に戻したかった、けれども蒼乃は作り物の依人といつまでも過ごしたかったということですよね。蒼乃自身が現状維持を望んでいるのですから、茉莉は命までかけなくても、という気もしてしまいますが、この辺の流れはもう一度見直したほうが良いかも。依人が間に入って刺されるシーンは正直ちょっと見せ方が弱かった気もしましたが、茉莉と蒼乃がそれぞれ昔のことを思い出すシーンは良かったです。


戦いすんで、消えてゆく依人。そして蒼乃とともに朝日を迎えた茉莉も、きっとその生涯を終えたのでしょう。最後に美しい空を見ることが出来たもの、と思いたいです。直接描写されなかったのはヒロインのラストシーンとしては物足りない反面、想像の余地が残るものでもありました。



Bパートは真名、こより、蒼乃に焦点が当たって、エピローグが語られました。依人や茉莉がいなくなったというのに、それを感じさせないどこか清清しい雰囲気に、ほっとすべきか戸惑うべきか迷います。ハッピーエンドでもなく、アンハッピーエンドでもない、そんな静かなラストでありました。でもやっぱり寂しいですね。依人の空への思いは真名達に受け継がれたと言っても、もう彼のことを思い出すのは蒼乃しかいません。そして茉莉のことも。真名の叫びは空のどこかにいる2人に届いたのでしょうか……。



久弥直樹×七尾奈留コラボレーション作品」という第一報を聞いたときから結構大きな期待をしておりましたが、その期待を上回るものを見せてくれました。せつない物語、魅力的なキャラ、高水準の作画、キレのあるアクションシーン、しっかりしたペース配分等々、「1クール美少女アニメの理想系」であったような気がします。スタッフの皆さんお疲れ様でした。でも、茉莉にはもっと明るく元気に生きて欲しかったですよ。このラストだけが、なんだかまだ消化しきれていない感です。


P.S 電車の車窓から久しぶりに空を眺めてみました。もうすっかり夏の雰囲気が出ていますね。刻々と変わる青空と、雲と陽光はやっぱり美しく、依人の気持ちが少し分かりましたね。