「母なる大地父なる空 アリューシャン黙示録」

母なる大地 父なる空〈上〉―アリューシャン黙示録

母なる大地 父なる空〈上〉―アリューシャン黙示録

母なる大地父なる空〈下〉―アリューシャン黙示録

母なる大地父なる空〈下〉―アリューシャン黙示録

時は紀元前7000年、舞台はアリューシャン列島。生まれ育った村を他部族に滅ぼされた少女「黒曜石」の日々を生き生きとした筆致で書き出した物語。なんといっても作者がしっかり勉強し、丁寧に描写される古代の暮らしが興味深いです。やっぱり古代はロマンですよね。それも大陸ではなくて島と海と船の暮らしというのが特徴的です。男達はカヤックに乗り込みアザラシ狩りへ。女達は村で防寒の衣服作り。文字も無く、精霊が信じられ、不思議な力を持つとされたシャーマンはうやまわれます。


日々の食料も保証はされない、出産や病気で次々と命が失われていく厳しい自然の中で、懸命に生きていく人々。現代に住む自分達がいかに便利に暮らしているか、9000年の人類の努力と発展に思いをはせます。


それにしても黒曜石の強くたくましいこと。13歳とは思えないほどですが、当時の13歳はそれだけ精神年齢が高くなければやっていけなかったのでしょうね。