「秒速5センチメートル」 (公式サイト)

新海誠監督の最高傑作!



あまりに切なく、圧倒的に美しい。3月3日に公開されていたのを知らずに今日あわてて見に行きましたが、上映期間中に間に合って良かった。素晴らしい一作でした。個人的には大満足状態。


ほしのこえ」「空のむこう、約束の場所」と見てきて、「新海監督は映像はすごいけれどもちょっと物語が弱いかな」と感じていました。今作もその辺にいくばくかの不安があったのですが……僕の不明でありましたよ。新海監督はちゃんと進化していたのですね。主人公、遠野貴樹を中心とした3本の連作短編集。これがきっちりと描かれています。やはり監督は短編形式が得意なのでしょうか。1時間作品ながらその密度は非常に濃く、まるで大河作品を見せられたかのような充実度でした。そしてまた今回特筆すべきは、宇宙生命体とか多次元空間とか怪しげなSF用語が登場しない、純然たる現実世界が舞台であることでしょう。これによって、余計なことを考える必要が無く、素朴に物語の世界に入ることができました。


映像美についてはもう説明する必要も無いでしょう。過去作以上にグレードアップした、劇場で観ることに十分な価値のある美しさです。上でも書いたように舞台は現実世界なのですが、この表現はアニメで無いとできません。まさにアニメであることの「力」と「意味」を感じさせてくれましたよ。3編どれも素晴らしかったですが、第2章の「コスモナウト」が特にお気に入り。青春です。第3章の歌が流れる部分も良かったですね。なんだかminoriのムービーでつちかった技量が出ているようでした(笑)。


見終わった後しばらく余韻に浸っておりましたが、これは去年「時をかける少女」を観たときと同様。「時かけ」から1年も経たないうちに、勝るとも劣らない傑作と出会うことができようとは、ありがたく幸せなことです。



いまさらではありますが未見の方はぜひ、ぜひご覧になってみてください。お薦めいたしますよ。