「Fate/Zero」

http://www.fate-zero.com/

Fate世界の背景として語られた、あの第4次聖杯戦争がついに公式ノベル化! しかも書くはあのニトロプラスのライター、虚淵玄さん! これが燃えずにいられましょうや? 本格装丁428ページが一気呵成の面白さでした。


主人公は衛宮切嗣。魔術師でありながら近代技術を使用する異端ぶりが面白い。影の主人公とも言える言峰綺礼は、若々しくて新鮮。そしてヒロインはセイバー……ではなくアイリスフィール・フォン・アインツベルン。本書で披露された彼女の魅力に萌え転んだ人も多いことでありましょう。一児の母にしてメインヒロインとは、なかなか斬新なものがあります。切嗣とアイリとイリヤの家族の光景はたとえ一時のことと分かっていても、幸せなシーンでした。で、結局イリヤの年齢は16〜17ってことでOKなんでしょうか。


サーヴァント含めた他のキャラもなかなか強力です。イスカンダルはあんなキャラで、マケドニアの人が知ったらどう思うだろうかという感じですが、そこはそれ。遠坂父はいかにも冷徹な魔術師でイメージがちと異なりますが、あれで凛には割と甘いという可能性もあるかなあ。キャスター主従は受け入れがたいので早いとこ退場してもらいたいです。


虚淵さんの手になる文章は、ゲーム版本編と違いきっちり三人称小説になっていて違和感が無く、それでいて奈須さんの風味も残してあるという出来栄えで、氏の実力を感じさせました。展開のほうも、ゲーム本編の舞台となった第5次に比べストレートなバトルロイヤル物になりそうで、早くも次巻以降が楽しみで仕方ないです。