「グリーンスパン―アメリカ経済ブームとFRB議長」

グリーンスパン―アメリカ経済ブームとFRB議長

グリーンスパン―アメリカ経済ブームとFRB議長

在任中から伝説的人物のように語られていた、グリーンスパンFRB議長の日々を書いたドキュメンタリー。彼がどのようにしてFRBを動かし、そしてアメリカ経済を軌道に乗せていったのかが、著名ライターのボブ・ウッドワード氏によって書かれます。


たびたび名前を聞くものの、あまり詳しいことを知らなかったグリーンスパン氏の人となりと功績を知るのにはうってつけの一冊でした。FRBは合議制なのに、結局議長の意見ばかり通してしまう説得術、なおかつそれが正しいという慧眼。曖昧模糊な「グリーンスパン語」で市場の反応を一方的にさせない慎重さとバランス。学生時代は音楽の道を志していたというのも意外な一面です。共和党員でありつつ民主党クリントン政権の下でも8年間力を発揮したように、柔軟性と、それなりの政治力もあったみたいです。


本書を読んでいると、経済の運営なんて単純なことで、「過熱しそうだったら金利を上げて、落ち込みそうだったら金利を下げるだけで良い」くらいに思えてくるのが怖いところ(苦笑)。そうそう簡単にできる人がいないからこそグリーンスパン氏は偉大だったのでしょう。


惜しむらくは、本書の発行が2001年で、議長の任期がまだ5年もあったことです。その後の事も含めたことも勉強したいものだと思いました。「検証グリーンスパン神話」なんて良いかなあ。