「天才数学者、株にハマる」
- 作者: ジョン・アレン・パウロス,望月衛,林康史
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2004/01/29
- メディア: 単行本
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どうも株の具合がさっぱりなので、ここらで気合を入れて勉強しなおさねばと読んでみました。数学者の著者(「天才」かどうかは分かりませんけど)が、自らバブル株で大損した体験を踏まえつつ、株式市場に関連したさまざまな数学的話題を紹介、考察してくれます。タイトルからは自伝的性格が強そうに見えますが、意外と体験談は少なめで、サブタイトルの「投資の考え方」の方が実際に近いですね。
果たしてテクニカル分析は有効なのか? ファンダメンタルは全て市場に織り込まれているのか? 確率論、フラクタル、ゲーム理論、行動ファイナンス、黄金比にエリオット波動……そういった単語にピンと来る方々なら楽しめると思います。中でも、「効率的市場仮説のパラドックス」は面白かった。「誰もが効率的市場仮説を信じると、この仮説は成り立たなくなる」。確かに、「どうせ情報なんて織り込まれているんだから」と全投資家がインデックスファンドを買うようなことになっては、個別株はまったく動かない理屈になってしまいますからねえ。実際は信じられてないからこそある程度有効になっているという逆説が面白いです。
ユーモアのある語り口で楽しく読めましたが、数学的な話やチャートの話が多く出てくるのに、図表がまったくないというのは痛いです。先日の「ビッグバン宇宙論」が本文のみならずイラストでも素晴らしい仕事をしていただけに、もったいなく感じられました。……それにしても、学者さんであっても容赦なく損はしてしまうわけで、結局のところ必勝法は無いものなんでしょうなあ。